目次
はじめに
自己啓発本といえばこの本といわれる、自己啓発本の元祖といわれるこの本。大学生のころからビジネス書を読み漁っていましたが、勧められれば勧められるほど読みたくなくなってしまう捻くれた性格だったので、10年以上存在を知りながら避けていました。後輩の指導に悩みついに読んでみることにしてみました。
読んでみて10年前。少なくとも社会人になる前には読んでおけばよかったと後悔しました。今回読んで得たものは一生使える知識になったと思います。
アドラー心理学では「「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」」とされています。
こんな人におすすめ
- 全ての人
- やる気のない部下に悩む人
- 人とすぐに対立してしまう人
- 夫婦関係に悩む人
内容と感想
相手を変えるには自分を変える
本書は「人を動かす」というタイトルですが、そこには、「自分を動かす」というテーマが隠れています。相手を動かす方法とは、同時に自分を動かす方法です。
訳者あとがき
この本の裏のテーマであり、根底にあるテーマだと思います。この本の技術を実践するためには自分の行動を変える必要があります。感情のままに動いていてはこの本の技術は実践できません。相手を変えたい自分を見つめなおす。そして、自分を変えるこの決意をもって、この本の技術を実践していくといいと思います。
収入を増やしたければ対人技術を学べ
技術者の場合でも、その人自身の技術知識は、収入増加の要因の15パーセントにすぎず、残り85パーセントは、対人技術と個性、そして人を動かす能力に起因するというのです。
p4 本書を書いた理由
会社勤めで、一通り仕事が自分でできるようになってくると、一人でできることの限界を感じてくると思います。一人で100点を出す人よりも80点を10人育ててまとめ上げる人のほうが、大きなことができるし必要とされると思います。
世界で一人だけという特殊な技術を持っている人であれば、あまり必要ないかもしれませんが、そうでない大多数の人は上記引用の法則が当てはまるかと思います。収入を上げるに際しては、対人技術、人を動かす技術が必要だと。
注目すべきは技術としていることです。この本で一貫しているのは、実例をもとに実践できるように書かれていること。観念論などではなく、技術なので再現可能なように書かれています。つまり、読んで生かすための本なのです。
相手を動かしたければ非難するな
非難は逆効果です。非難された人は自己防衛と自己正当化に走るからです。
第1章1
この本は言い方を変えて、繰り返し、繰り返し言い方を変えて書いてあります。人を動かすには非難しない。
人に注意したことがある人は経験があると思います。人は避難や注意を受けた時点で、その事実が誤っているかどうかに関係なくその行動が正しかったという無駄なことに労力を使って全力で自分を守ります。行き当たりばったりなウソや、だれが聞いても正しいような正義を持ち出してとにかく自分を正当化します。それが自分に向けて発言されていなくても内心ではそれが起こっています。
時間の無駄なので、とにかく非難することは避けなければなりません。ではどうすればいいのかが次のテーマです。
人を思い通りに動かすには
人を思い通りに動かすたった一つの方法は、相手が欲しいものを与えることなのです。
第1章2
馬にニンジンぶら下げるではないですが、相手が欲しいもののためには勝手に自分から動きます。そのためには、自分が求めることと相手が欲しいものを結びつける必要があります。そのためには以下のステップで実現します。ステップ3の結びつけとその伝え方に知恵を絞る必要があります。
ただ、通常相手にメリットがあることを行うと自分にメリットが返ってくるのは自然な流れなので、そうでない自分の要求はそもそも、間違った要求や関係性であると思うべきだと思います。
さいごに
教育の大きな目的は知識を得ることではなく、行動することにある。
ハーバード・スペンサー
いわれてみれば、確かにそうだということばかりです。優れたものはシンプル。というのが私の持論です。
この本もその例にもれません。本のページ数は多いですが、書いている内容は、実例と繰り返しが多いためです。原則はシンプルに、相手を非難しないことだと思います。
このシンプルな原則をどう実行していくのか、実行させる気にさせるような作りになっているのだと思います。人を動かすというタイトルなのにこの本を読んだ人が動かなければ価値の自己否定です。
原則を理解して、実行し続けるそのために、たまに読み返してみたいと思います。