はじめに
SHOWROOM の社長である前田裕二さんが書かれたこの本。メモの技術的なやり方の本かと思っていましたが、全く違いました。紙とペンさえあればとりあえず今すぐ実行できる内容なので、読んでみて実行することをお勧めします。早速、私が感じたことを書き連ねていきます。
内容と感想
「記録」ではなく「知的生産」のためのメモを取る
p24より
メモに関するビジネス書は何冊か読んでいるかと思いますが、すべて記録のためのもので、どのようにすれば効率的にわかりやすくメモを取ることができるかという内容だったと思いますし、私もメモにそれ以上の目的を求めていませんでした。
しかし、この本ではメモは記録ではなくそれ自体で知的生産を行うためのものとして書かれています。実際具体的なメモの書き方については1章で書かれているだけで、大半はその目的や考え方について書かれています。
メモというものに新たな価値を見出すことができ、早速やってみたいと思いました。
「ファクト→抽象化→転用」という最強のフレームワーク p46より
具体的な方法は、①ファクト(事実)を書く→②それを抽象化する→③転用できるアイディアを考えるとなっています。
私が今まで考えてきたメモでは①で終わっていました。事実を書いて記録して終わり。ほとんど使われることのないメモでした。考えてみると当然ですが、過去に起こったそれ自体を記録したものにはほとんど価値がありません。(紙や文字を書ける人が貴重だった時代だったら別でしょうが。)
今はむしろ、記録された情報は過剰なほどになっています。価値があるのは事実から、考えて自分の中に蓄積していきそれを活用する。活用できる状態にしておくということが自分自身の価値を高めることになります。
そのためには、このフレームワークが最強となるわけです。②の抽象化まででしたら、頭の中で何となく行っていることかと思いますが、③の転用となると、意識しないとできなそうですし。頭の中だけで行うのは大変そうです。
なので、メモを使ってそれを行いやすくしようということのようです。
抽象化は人間に与えられた最強の武器 p72より
この本の肝は、抽象化にあるのではないかと思っています。転用まで到達しなくてもあらゆる出来事に対して、抽象化をする癖をつけておけば下記のようなメリットがあるのだと思います。
・物事の本質をとらえられる
・物事の組み合わせの発想がしやすくなる。
例えば
レンタカー→使用頻度が低いものを使うときだけ借りる
スマホの段階的な通信料プラン→使う量によって月ごと料金を変動させる
→定額で使い放題
上記3点を組み合わせて、月額課金で使う時間ごとに料金が段階的に変わるレンタカーサービスという新たな発想ができます。
・理解が早くなる、読書のスピードが上がる。
かみ砕いて理解するとは抽象化するということなので、理解が早くなり、重要なところも把握できるので、読書のスピードも上がります。
上記は、どんなことをして生きていくうえでもあったほうがいい能力だと思います。他の動物と人間の大きな違いはこの抽象化にあるのではないかと思います。
終わりに
メモの取り方の技術的な方法ではなく、事実を抽象化して、活用するツールとして紹介しています。
その先には、自己分析は、夢を実現するといった目的に使う具体的な方法についても書いています。
大人として大切な能力として、白黒つかないものをどこかで落とし前を付けるということがあると思います。生きていると、2者択一でどちらかを選べばいいという状況はあまりなく、その間でどこに決めるかという選択を迫られることが多いです。そのような場面でも抽象化する癖付けされた脳ではいい答えが出しやすくなります。AとBそれぞれの利点、欠点を抽象化することで、分解することができてより良い答えを導き出せるのではないかと思います。
とにかく私も、メモを取ることを実践してみています。適したノートは今も検討中です。表紙が硬くてリング式でなく、比較的安価なノートがなかなか見つかりません。