お金と心を動かす会話術/浅川智仁 

はじめに

自身も営業として電話営業だけで3億円売り上げたのち、営業コンサルタントとして独立した著者が、営業のノウハウを書いている本です。

売り上げをあげる営業力はどんな仕事をしていても切り離せない能力だと思います。

営業のツールとしては、インターネット、SNSの発達で様式が変わってきていますが、根本の「営業とは目の前の人の問題解決と願望実現のお手伝いを、扱っている商材やサービスを使って行うことである」というものは変わらないと思うので、普遍的に必要な知識が身に着けられると思います。

こんな人におすすめ

・営業力をつけたい人

・独立開業したいひと

厳選3ポイント

金額は区切って(チャンクダウンして)お得感を出せ

孫の代まで使ってください。

以前、日経新聞の営業で「1日に換算すると缶コーヒー1本分ですよ」という言葉を受けて見事に契約をさせられた経験があります。最後の一押し手としてはとても有効だと思います。1年契約のものだとしたら、同じ金額でも、1年よりも1か月、1か月よりも1日に割って金額を小さく見せる。さらには引用の孫の代まで使えるということにすることにより細切れにできる期間を延ばすことができるということになります。1代だけで使い終わってしまうとせいぜい3~40年ですが、孫の代ともなれば100年近くは使えるということになります。1日換算するにはして、30,000分の1の金額でお得感を出すことができるということです。

共用で使えるものであれば、人数で割ったりすることもできます。例えば、会社に一つ導入すると社員全員が使えるようであれば、社員数で割ってお得感を出すこともできます。

ニーズから逆算して質問する

人は褒められると悩みを言う生き物なんです。

「部下の教育について、悩んでいる」というニーズが知りたいなら、その部分について褒めます。「○○さんみたいな方が上司だと、部下の皆さんも力をいかんなく発揮されているのでしょうね。」なんて褒める。すると、「いや、なかなか成長してくれなくて……」なんて言ってきてくれます。

完全にテクニックとなりますが、嫌みとならない程度に褒めると、それについて悩みが出てくるようです。人は意外と自己反省をして生きているので、周りが思っている以上に自分の悪いところについて知っていて、考えているのだと思います。周りから優れているということについては当然その人は普通の人よりもたくさん考えて工夫しているはずなので、悩みや話したいことがあるのだと思います。

直接は関連しませんが、逆に、「あなたの部下はかわいそうですね」などと批判的なことを言えば、同じ人でも自己弁護をしてしまうので、どんな人に対しても直接的な否定は避けるべきかと思います。

プラスのことだけ語ろう

脳は入力したものをしか出力しない

営業とは関係ないようですが、周りの失敗を願うと自分が失敗のマインドになってしまう。愚痴は3倍になって帰ってくる。など、結局営業のノウハウをいくら学んだところで自分自身が魅力的な人間でなければ誰も買ってくれないということかと思います。

ライバルの成長を願って自分はそれ以上に成長するというマインドで生きていきたいと思います。

また、周りで起こることはすべて自分にとっていいことであるとして、謙虚に生きるように心がけたいと思いました。

類は友を呼ぶという言葉がありますが、愚痴を言っていると愚痴を言う人が集まってきて、会話をしても建設的な会話は生まれません。逆に夢や希望を語っていると同じような人が集まってきて自分の励みになると思います。普通に働いていると属する集団をなかなか変えられないですが、SNS等がありますので、夢をもって成長しようとしている人とかかわるようにしたいと思います。

終わりに

大前提として、営業でお客様の悩みを解決したり、よりよい人生を送ってもらうという、目的でないと本当の営業とは言えません。自分の売りたいもの進めたいものに自信をもつところからスタートして本書に書いているような手法を使っていく必要があるかと思いました。

ビジネス書 まとめのページへ

行動の品質/伊藤健太  がむしゃらにやる時代は終了しました

始めに

企業のサポートの会社を運営する著者が、意識の高い人の集団である、経営者たちでも結果に差が出るのはなぜだろうというところから、行動の品質を高めて目的に近づくための方法を書いています。

こんな人におすすめ

・努力はしているのに結果が出ない人

・部下の指導に悩む人

・がむしゃらに努力することが大好きな人

厳選3ポイント

行動の品質を高めるには「最短最速」「一石五鳥」「巻き込み」

行動の品質を高める3つのポイント

①最速最短最少で最大最高最適な成果を出すことを最優先で考える

②1つの行動が、どれだけで終わらず、良い波紋を広げることを考える

③自分だけでなく、そもそもまわりを巻き込もうと考える

①10年かけてコツコツ学んできた技術が、技術革新により学ぶ必要がなくなったり、だれでもできる仕事に成り代わってしまう恐怖からか、下積み、修行という言葉は先人の立場を守るためにも浸透している考え方だと思います。寿司職人になるために皿洗いをひたすらやったり等。

しかし目的に対して最短最速でたどり着くためには不要なことは切り捨てなければなりません。

会計業務で言えば、OCRで読み取ってくれる数字をわざわざ手で打つ必要はないのです。

コツコツ努力をせずに最大の効果を得ることに罪悪感を抱きがちですが、その考えは捨てようと思います。

②お笑い芸人のキングコング西野亮廣さんが、エアロバイクを漕ぎながらYoutubeの生配信を行っています。エアロバイクでダイエットをしながら、空いている脳と口で、Youtubeから収益を得たり、絵本の宣伝を行ったりと同じ時間を使って複数の結果を得ています。有能な人は一つの行動から、複数の結果を得るような仕組みを考えることができるようです。

③一人でできることには限界があり、複数の人を動かせる人が組織では重宝されます。一人で100点を取るよりも、50点の3人を80点を取れるようにまとめ上げる力のほうが大きなことができます。まとめ上げなくても、あらゆる方法で人に支援してもらい、相手のメリットにもなるような方法を考えることも大事だと思います。

カンニング上等

本当に仕事のできる人ほど、答えを先に見に行っています

テストにおいては答えを見に行くことは反則ですが、ビジネスに限らずそれ以外の実生活では答えを先に見に行くことは大変重要な考え方だと思います。

仕事を依頼されたら、仕事の目的、完成のイメージを知ること。知るためには、考えてもいいですし、依頼者に聞いてもいい。仕事を依頼された背景などを知っておくことは重要だと思います。

努力を目的にするな

「努力しなくてもうまくいく方法があれば、それに越したことはない」

努力そのものが正義とされている社風としている会社もあるかと思います。

同じ結果を得るために低いコストで済むなら迷わずその方法を選ぶべきです。

苦労は買ってでもしろという言葉がありますが、無駄な苦労は売り払ってでも避けて、高い目標を設定することで品質の良い苦労を得るようにと考えを変える必要があるかと思います。

おわりに

働き方改革、コロナによる働き方の変化、経営者だけでなく従業員たちも価値観を一変させるようなこの2年ほどだと思います。昔は、月月火水木金金、24時間働けますか。という時代で、長く働くことが正義ともされていましたが、今後そのような考えが復活することはないように思えます。より短い時間で高い成果が求められる時代ですので、最短最速に罪悪感を持つことをやめることを心がけるようにしなければいけないと思いました。

ビジネス書 まとめのページへ

まんがと図解でわかるドラッカー/藤屋伸二 ドラッカーの入り口にどうぞ

はじめに

10年くらい前に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本がはやりましたが、社会人に出たら一度は「マネジメント」という本を勧められたことがあるのではないでしょうか。ドラッカーの主張の概要を知る入口の本としてこの本も適していると思います。

こんな人におすすめ

  • 働く意味に悩む人
  • ドラッカーとその思想について概要を知りたい人
  • マネジメントを読もうか迷っている人

内容と感想

マッチ売りの少女はマッチを売っていない

会社の目的は顧客の創造にあるという部分の、漫画でマッチ売りの少女はマッチではなく、かわいそうな少女を助けてあげたという事実を売っていたという例示です。モノやサービスを売るときに、そのものではなく、そのものを利用して得られるコトを売っているということだと思います。どんな仕事を進めるうえでも重要な考え方だと思います。

自分の売り上げをあげられないとき、立ち止まってお客様にどんな価値を提供しているかをこの話を思い出して考え直してみるいいと思います。

人をやる気にさせる仕事の環境

①チャレンジ性のある仕事が与えられている

②成果についてフィードバックがある

③継続的に成長できる

部下や後輩がやる気を出して仕事をしてくれないと思うことはだれしもあると思います。特に今の若い世代は競争や野望を持たずに成長してきているような気がします。ただ、人間の基本的な性質は変わらないので、そのような人たちをどのようにやる気にさせるかというのも仕事のうちだと思います。

そのために、上記3つの観点で部下にそれを与えてあげられているかということを考えてみるようにしたいと思いました。

目の前の仕事をひたすらやらせて、あらさがしをして指摘してしまう。こんなことをしていれば、部下がやる気を出してくれるはずもありません。将来のためになぜ今の仕事が必要で、それの現在地を教えてあげるフィードバックして、それを繰り返す中で螺旋のように成長していくというを意識して部下に対して接したいと思いました。

おわりに

本棚にあるマネジメントをまだ読めずにいますが、ドラッカーってこんなことを主張していたよねという会話の種にはなると思いました。人新世の資本論や、人類幸福化計画においては、顧客の創造=欲望消費を掻き立てることのような気がして、少し考えてしまいました。ただ、仕事は自己実現の手段であるということについては同意できました。極論、お金という存在がなくなったとしても自己実現の手段としての広義の「仕事」というものは残り続けるべきですし、残るのだと思います。

いろいろな考えを取り入れて社会人として成長してくためには、名著と呼ばれるものを読んで自分の中で同意する部分と同意しない部分を自分の中で繰り返し問うていくのも必要なのだと思います。

あたりまえを疑え/澤円【読書感想文】 忖度の社会から抜け出そう

はじめに

私は今まで生きてきて、常識にあまり外れずに平均的な生き方をしてきたように思います。なので、こういったタイトルの本を読むとつい買ってしまいます。

凡人は、当たり前を疑えという当たり前のことを何度も何度も意識して行動を変えていかないと、ただ流されてやりがいのない日々を過ごしてしまうのだと思います。

こんな人におすすめ

  • 会社勤めに疑問を抱いている人
  • 老後に不安を抱えている人
  • 同調圧力にうんざりしている人

内容と感想

苦手なことは人に任よう、その分得意なことで貢献しよう

タスクを効率的にこなす3つの原則

①できるタスクとできないタスクを理解している

②やると決めたひとつのタスクに集中している

③タスクにかかるスピードを把握している

p38

あたりまえを疑うというタイトルからあまり関連がないような内容に思いますが、苦手なこともなんでも、自分でやれ。というのは、よくある話だと思います。

管理職になるためにいろいろな現場を見て回るのならまだしも、雑務や苦手なことに時間を割くくらいだったら、それぞれの役割の人にお任せして、その代わり自分が得意なことで役立とうということです。いやな仕事を押し付けろということではありません。それぞれが得意なことがあるのならそれをお互いにやりあえば効率がいいよねという話です。

そのためには、この件だったらこの人というくらいとがった人物になることは不可欠です。

ですから、僕は常に得意なことについては、「打率10割」を目指しています。

p54

作業のボトルネックをつぶせ

自分が最高のスピードを出せる状態にするには、まずボトルネック(遅れを引き起こす障害)を知り、それをどう改善するかがポイントになるというわけです。つかえているところを取り除き、突っ走れる状態にしておくということですね。

仕事をしていると、とても集中してすごいスピードで仕事が進むことがあると思います。それは、ボトルネックとなる作業を取り除いた状態で作業ができているからだと思います。

ボトルネックとなっている作業は、作業時間を計測しなければ浮かび上がってきません。あまりに細かく分ける必要はないですが、明らかに効率の悪い作業過程があるはずなので、まず見つける。

その後、その作業を手順化、外注するなどして、自分のできることを最大のスピードで行えるように環境を整えるようにします。

正解を求めていてはイノベーションは生まれない

日本人はあまりに「正解探し」が癖になりすぎています。

p93

何かのやり方を根本から変えようとか、新しいやり方を作り出そうというときに、完璧な状態でスタートすることを求める人が多すぎると思います。

とりあえず初めて、やりながら改善していく、ベストの状態から開始できるはずはないので、ベターを選び続けていいものを作っていくほうが、いいかと思います。

出た選択肢の中でとりあえず正しいかどうかもわからないけれどはじめてみる。ダメだったらやめればいいのだと思います。

このブログも毎度書くたびに、少しづつ改善しています。やろうと思ってから10分後にはXサーバーを開設して、30分後にはこのサイトを作り始めていました。この本で読んだことが頭にあったこともこのように動けた理由かもしれません。

おわりに

私は自分自身で悪い意味での日本教育の体現者だと思っています。飛び出ることが苦手で、同調圧力に屈して、周りに合わせることをよしとして、それを周りにも押し付けてそれが同調圧力を生んでいます。

どこかで、突出する人は自分たちとは違う世界にいる人で、「私達ではない」ということを私の周りになんとなく強制していました。自分が凡人であることでは飽き足らず周りに凡人でいることを求めていたのです。

この本はその状況から少し抜け出すような考え方を与えてくれました。この本を読んだ次の日からも私は同じように定時通りに会社に出勤していましたが、周りには見えない形で自分を変えていこうと思いました。収入や自分の価値を会社以外でも持ているようにこのブログやボランティア活動などを始めてみようという風になりました。プログラミングも勉強しなおしてみようと思いました。

人を動かす/D・カーネギー【読書感想文】 自己啓発書の元祖、すべての人に薦めたい

はじめに

自己啓発本といえばこの本といわれる、自己啓発本の元祖といわれるこの本。大学生のころからビジネス書を読み漁っていましたが、勧められれば勧められるほど読みたくなくなってしまう捻くれた性格だったので、10年以上存在を知りながら避けていました。後輩の指導に悩みついに読んでみることにしてみました。

読んでみて10年前。少なくとも社会人になる前には読んでおけばよかったと後悔しました。今回読んで得たものは一生使える知識になったと思います。

アドラー心理学では「「人間悩みは、すべて対人関係悩みである」」とされています。

こんな人におすすめ

  • 全ての人
  • やる気のない部下に悩む人
  • 人とすぐに対立してしまう人
  • 夫婦関係に悩む人

内容と感想

相手を変えるには自分を変える

本書は「人を動かす」というタイトルですが、そこには、「自分を動かす」というテーマが隠れています。相手を動かす方法とは、同時に自分を動かす方法です。

訳者あとがき

この本の裏のテーマであり、根底にあるテーマだと思います。この本の技術を実践するためには自分の行動を変える必要があります。感情のままに動いていてはこの本の技術は実践できません。相手を変えたい自分を見つめなおす。そして、自分を変えるこの決意をもって、この本の技術を実践していくといいと思います。

収入を増やしたければ対人技術を学べ

技術者の場合でも、その人自身の技術知識は、収入増加の要因の15パーセントにすぎず、残り85パーセントは、対人技術と個性、そして人を動かす能力に起因するというのです。

p4 本書を書いた理由

会社勤めで、一通り仕事が自分でできるようになってくると、一人でできることの限界を感じてくると思います。一人で100点を出す人よりも80点を10人育ててまとめ上げる人のほうが、大きなことができるし必要とされると思います。

世界で一人だけという特殊な技術を持っている人であれば、あまり必要ないかもしれませんが、そうでない大多数の人は上記引用の法則が当てはまるかと思います。収入を上げるに際しては、対人技術、人を動かす技術が必要だと。

注目すべきは技術としていることです。この本で一貫しているのは、実例をもとに実践できるように書かれていること。観念論などではなく、技術なので再現可能なように書かれています。つまり、読んで生かすための本なのです。

相手を動かしたければ非難するな

非難は逆効果です。非難された人は自己防衛と自己正当化に走るからです。

第1章1

この本は言い方を変えて、繰り返し、繰り返し言い方を変えて書いてあります。人を動かすには非難しない。

人に注意したことがある人は経験があると思います。人は避難や注意を受けた時点で、その事実が誤っているかどうかに関係なくその行動が正しかったという無駄なことに労力を使って全力で自分を守ります。行き当たりばったりなウソや、だれが聞いても正しいような正義を持ち出してとにかく自分を正当化します。それが自分に向けて発言されていなくても内心ではそれが起こっています。

時間の無駄なので、とにかく非難することは避けなければなりません。ではどうすればいいのかが次のテーマです。

人を思い通りに動かすには

人を思い通りに動かすたった一つの方法は、相手が欲しいものを与えることなのです。

第1章2

馬にニンジンぶら下げるではないですが、相手が欲しいもののためには勝手に自分から動きます。そのためには、自分が求めることと相手が欲しいものを結びつける必要があります。そのためには以下のステップで実現します。ステップ3の結びつけとその伝え方に知恵を絞る必要があります。

ただ、通常相手にメリットがあることを行うと自分にメリットが返ってくるのは自然な流れなので、そうでない自分の要求はそもそも、間違った要求や関係性であると思うべきだと思います。

さいごに

教育の大きな目的は知識を得ることではなく、行動することにある。

ハーバード・スペンサー

いわれてみれば、確かにそうだということばかりです。優れたものはシンプル。というのが私の持論です。

この本もその例にもれません。本のページ数は多いですが、書いている内容は、実例と繰り返しが多いためです。原則はシンプルに、相手を非難しないことだと思います。

このシンプルな原則をどう実行していくのか、実行させる気にさせるような作りになっているのだと思います。人を動かすというタイトルなのにこの本を読んだ人が動かなければ価値の自己否定です。

原則を理解して、実行し続けるそのために、たまに読み返してみたいと思います。

ビジネス書 まとめのページへ

話し方入門/D・カーネギーの感想【読書感想文】 人を動かすの著者が語る話し方の極意

はじめに

デール・カーネギーといえば、「人を動かす」。「人を動かす」といえばビジネス書ではの元祖で歴史的名著として知られています。この「話し方入門」は1926年に原型が出版されており、1936年の「人を動かす」よりも前に出版されたものになっています。「人を動かす」よりも、スピーチに特化していますが「人を動かす」の原型が見えます。創元社、市野安雄訳、文庫版で読みました。

こんな人におすすめ

  • 人前で話すのが上手になりたい。人前で話す機会があるが失敗してしまう。
  • 人に話して伝えることが苦手。
  • 何かしてもらいたいときに人にうまく伝えられない。

内容と感想

話す目的を明確にする

およそ話というものは、話し手がそれに気づいている、いないにかかわらず、次に四つのうちどれかを目的にしています。

一、何かをわからせる

二、感銘を与えたり、納得させたりする。

三、行動を起こさせる

四、楽しませる

第10章p241

話す大前提として、何の目的があって話すのか考えることが必要です。このブログは話すではなく書くですが、この本を読んでもらう、本の内容を実践してもらうといった目的があります。話しているうちに、話すことが目的となってしまい、目的を見失ってしまうことがよくあります。初めに明確にして意識して話したり、話す準備をする必要があります。

例えば後輩に注意しているときは、次回に同じミスをしてほしくないのでそのための行動を起こさせることを目的としています。(話しているうちに目的を忘れて、指摘するだけになってしまうこともありますが…)

スピーチの成功は自信から、自信は周到な準備から

自信は周到な準備から

2章タイトル

「戦術は科学であり、計画され考え抜かれたものでなければ成功しない」とはナポレオンの言葉。このことは戦いと同様スピーチについても同様である。

p80

この本の根幹で、これに尽きる。という内容です。スピーチの成功は小手先のテクニックよりも、とにかく準備、周到な準備、練習が必要。

どんなことについてもいえることで、何かをするのに自信をもって行うことは必要で、そのためには準備が必要。自信のない人の言葉はだれも聞いてくれないし、誰も動かせないのだと思います。

一つの文章をは百四回書き直す

言おうとすることを明確に話し、自分の考えを非常に微妙な意味まで表現するするように努力しましょう。(中略)アメリカの女流作家ファニー・ハーストは時には五十回から百回も文章を書き直すことがあると話してくれました。

第12章 p315

書くことを生業とする作家の方でさえ何度も書き直すことがあるということです。そうでない私たちは何度も何度も推敲して、直して、試してみる必要があるのだと思います。話すことは日々繰り返し行っていることなので、毎日振り返ってどういう言い回しにしたらよかったのかということを考えてみる時間を作ってみるのもいいかもしれません。

成功には記憶力が必要

第3章は記憶力の増進についての、技術的な方法が列挙されています。なぜ、記憶力が必要かについて明確には書かれていませんが、スピーチを行うのにメモを見ながら行うわけにはいかないでしょうから、そのために必要ということかと思います。

休みなく反復を続けるという方法は、適切な間隔をとって反復するよりも、同じ成果を上げるのに、時間もエネルギーも二倍必要という事実を明らかにされたのです。

p96

上記はある学者の実験、研究結果に基づく事実です。どんなことに対しても応用できそうなので、記憶しておきたいです。

聴衆に合わせた言い回しが必要

洗練された美しさを求める現代の聴衆は、昔流行したような凝った言い回しにはもはや耐えられないでしょう。

第6章 p135

話す目的が明確になっていて、相手が決まっているのなら、聴衆が聞きやすい話し方にするべきです。私は職業柄、会計の専門用語を専門でない人に話す機会が多いです。その際は、専門用語を省いて例を交えながらわかりやすく話す必要がありますし、同僚と話すときは逆に一言で表せる専門用語を使えるなら使うべきです。


おわりに

話し方入門という内容でしたが、何かを成し遂げるということについて抽象化された方法論が書かれています。とにかく、周到な準備から出てくる自信はどんなことに対しても必要だと思います。自身は他人に対しても、自分自身に対してもよい影響を及すと思います。一つの自信はほかの事柄への自信にもつながると思います。

ビジネス書感想文まとめ

メモの魔力/前田裕二(SHOWROOM社長)【読書感想文】 メモは知的生産のための魔法の道具

はじめに

SHOWROOM の社長である前田裕二さんが書かれたこの本。メモの技術的なやり方の本かと思っていましたが、全く違いました。紙とペンさえあればとりあえず今すぐ実行できる内容なので、読んでみて実行することをお勧めします。早速、私が感じたことを書き連ねていきます。

内容と感想

「記録」ではなく「知的生産」のためのメモを取る p24より

メモに関するビジネス書は何冊か読んでいるかと思いますが、すべて記録のためのもので、どのようにすれば効率的にわかりやすくメモを取ることができるかという内容だったと思いますし、私もメモにそれ以上の目的を求めていませんでした。

しかし、この本ではメモは記録ではなくそれ自体で知的生産を行うためのものとして書かれています。実際具体的なメモの書き方については1章で書かれているだけで、大半はその目的や考え方について書かれています。

メモというものに新たな価値を見出すことができ、早速やってみたいと思いました。

「ファクト→抽象化→転用」という最強のフレームワーク p46より

具体的な方法は、①ファクト(事実)を書く→②それを抽象化する→③転用できるアイディアを考えるとなっています。

私が今まで考えてきたメモでは①で終わっていました。事実を書いて記録して終わり。ほとんど使われることのないメモでした。考えてみると当然ですが、過去に起こったそれ自体を記録したものにはほとんど価値がありません。(紙や文字を書ける人が貴重だった時代だったら別でしょうが。)

今はむしろ、記録された情報は過剰なほどになっています。価値があるのは事実から、考えて自分の中に蓄積していきそれを活用する。活用できる状態にしておくということが自分自身の価値を高めることになります。

そのためには、このフレームワークが最強となるわけです。②の抽象化まででしたら、頭の中で何となく行っていることかと思いますが、③の転用となると、意識しないとできなそうですし。頭の中だけで行うのは大変そうです。

なので、メモを使ってそれを行いやすくしようということのようです。

抽象化は人間に与えられた最強の武器 p72より

この本の肝は、抽象化にあるのではないかと思っています。転用まで到達しなくてもあらゆる出来事に対して、抽象化をする癖をつけておけば下記のようなメリットがあるのだと思います。

・物事の本質をとらえられる

・物事の組み合わせの発想がしやすくなる。

 例えば

 レンタカー→使用頻度が低いものを使うときだけ借りる

 スマホの段階的な通信料プラン→使う量によって月ごと料金を変動させる

               →定額で使い放題

 上記3点を組み合わせて、月額課金で使う時間ごとに料金が段階的に変わるレンタカーサービスという新たな発想ができます。

・理解が早くなる、読書のスピードが上がる。

 かみ砕いて理解するとは抽象化するということなので、理解が早くなり、重要なところも把握できるので、読書のスピードも上がります。

上記は、どんなことをして生きていくうえでもあったほうがいい能力だと思います。他の動物と人間の大きな違いはこの抽象化にあるのではないかと思います。

終わりに

メモの取り方の技術的な方法ではなく、事実を抽象化して、活用するツールとして紹介しています。

その先には、自己分析は、夢を実現するといった目的に使う具体的な方法についても書いています。

大人として大切な能力として、白黒つかないものをどこかで落とし前を付けるということがあると思います。生きていると、2者択一でどちらかを選べばいいという状況はあまりなく、その間でどこに決めるかという選択を迫られることが多いです。そのような場面でも抽象化する癖付けされた脳ではいい答えが出しやすくなります。AとBそれぞれの利点、欠点を抽象化することで、分解することができてより良い答えを導き出せるのではないかと思います。

とにかく私も、メモを取ることを実践してみています。適したノートは今も検討中です。表紙が硬くてリング式でなく、比較的安価なノートがなかなか見つかりません。

ビジネス書感想文 まとめ